お坊さん便

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お坊さん便

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2018/03/02 お坊さん便

単純な好奇心から、ここ数年、仏教界を賑わしております「お坊さん便」を検索してみました。

 

お坊さん便検索結果

 

基本は「移動なしの戒名なし」45000円より。

「移動ありの戒名授与」で75000円より。

 

これは説明によれば、自宅で読経、法話をする法事法要手配とありますので、四十九日とか、年忌法要(1周忌、3回忌など)のことなのでしょう。葬式だと、相場はやはりもう少し高いのかも。

 

前にもお布施については何度か書きました。

院号と法名

 

布施の意味再考

 

「料金表が明確でないのは不安だ」というお気持ちはよくわかります。時価と書かれた寿司ネタは、頼みにくい。ワインに至っては、時価は果てしなく高価なときもあるでしょう。葬式に関しては、お納めくださいと手渡したら、「これじゃ足りない」と突き返されたとか、特殊な例が喧伝されます。でもね、お布施は時価ではありません。

 

話は変わって、といっても関係しますけれど、国民皆保険は世界的にみても素晴らしい制度ですが、それ以前はお金持ちからはそれなりの治療代をもらいながら、貧しい人からはお金をもらわない医者もいたと言います。お百姓さんならお金ではなくて大根等を置いていく。(※)

 

お布施も、本来はそういうものです。払える方からはたくさんもらい、出せない方からは出せる範囲で出してもらう。

 

最低価格を明示すると、関西(特に大阪)では最低価格が一般化し、東京ではもう少し上のあたりが相場になると言われています。倹約家の関西人と見栄っ張りの東京人という対比でよく持ち出される話ですが、いずれにせよ、相場が固定されると、「自分ならこれくらいは出せる」と考えるのをやめてしまう。ちょっとでも考えたくない。いくらほどが妥当だろうかと、考えてこその布施、喜捨なのに、です。

 

最低価格は、したがって私も明示しませんが、ただ、45000円が最低価格だなんて、羨ましい。思い切って「ぶっちゃけ」ますと、年忌法要で、10万円出してくださる方もおられれば(ほとんどありません、かなり稀ではありますが、ありがたいことです)、1万円、2万円の方もおり、多くは3万から5万程度でしょうか。これにお膳料やお車代が含まれているときもそうでないときもあります(含まれていることが大半です)。お膳料なしで御斎の席(食事の席)にお相伴させていただくこともあります。いろいろお話ができて、食事の席に招待いただくのは、私は結構好きです。

 

私はお布施の額で法要の内容を変えたことはありません。その場の状況に応じて臨機応変にはしますが、やるべきことは故人の供養と阿弥陀さまに対する報恩感謝。それに尽きます。(法話もしますが、雰囲気では省略することも。)

 

お坊さん便。好奇心で見てみましたが、その額は高くもないが、決して安くはないという印象です。むしろ、お近くのお寺さんにご相談なさってはいかがでしょう。案外、気軽に応じるお寺さん、多いと思います。1ヶ寺だけでなく、いくつか巡ると、面白いかもしれませんよ。

 

もっとも、相手が僧侶であっても、人間と人間ですから、気の合う合わないはあるでしょう。お坊さん便なら一度きり、あるいはお試しに頼みやすいという点はあるでしょうが、年忌法要もそうですけれど葬式は故人にとって一度きりのこと。少し手間をかけてもいいのではないでしょうか。その結果、いい僧侶に出会えるかもしれません。「犬も歩けば棒に当たる」というではありませんか(最近では悪い意味に捉えられることの多いこの諺ですが、いい意味の方ですよ)。

 

なお、戒名(真宗では「法名」)は、本来葬式までに付けるべきもので(生前にもらうのがより正しいです)、別途法要の際に付けるとなると一定程度の費用はかかりますが、私は無料か過去帳(真宗では先祖代々の法名を一つの過去帳に書いていきます)の代金程度しかいただきません。

 

(※)戦前、と言うべきか、いつ頃のことかわかりませんが、いずれにせよ国民皆保険でなかった頃は、寺が貧困層の救済に尽力していたとも言います。社会福祉が国の政策になり、宗教と切り離された結果、寺もまた、自分たちの役割ではないと、社会福祉から撤退した面もあるようです。寺子屋もそうですよね。国が担当するから、寺は撤退した。

 

長くなりました。結論がすぐ出る話でもないので、今回はこの辺で終わります。

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