愛別離苦

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愛別離苦

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2018/07/16 愛別離苦

お世話になっていた方が亡くなりました。

 

すべからく人間の死は悲しいものですが、率直に申しますと、愛する人近しい人の死と、そうでない人の死は悲しさのレベルが異なる。そう感じない方はおられないでしょう。

 

赤の他人でも、幼い子供や著名人が事件・事故で亡くなると、悲しくは思いますが、「去る者日々に疎し」。報道されなくなると、忘れてしまいます。全く他人なら、悲しくさえない。だからと言って、それを、冷たい人だとは思いませんよね。

 

愛する人との別離=愛別離苦を、わずか8つの苦の一つに数えられたお釈迦様。何千年も前から、愛する人との別れは、人々を苦しめてきたことがわかります。

 

死も苦の一つに数えられています。生、老、病、死が第一レベルの苦。愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五蘊盛苦が第二レベルの苦。正確ではない表現ではありますが、第一レベルの苦は、私一人に与えられた苦。第二レベルの苦は、対象物があり、それとの間に生じた苦。

 

どちらの苦も、結局は、第一人称で語られるものですね。第二レベルの苦は、対象となる事物があるとはいえ、結局は本人が苦しむものです。

 

苦は、どうにもできないものなのに、なんとかしようと思うから苦しい。死は、誰にでも訪れます。病は、ある程度は予防したり癒したりできるとしても、病気にかかるのも生きている証しです。生まれることは、いわゆるバースコントロールは効きますが、でも、精子と卵子の結びつきは無限であり、何百万、何千万分の1の偶然の、奇跡の、産物が、私たち一人一人です。

 

第二レベルの苦も、私のような凡夫には、逃げようのない苦。自らが死ぬまで、苦しむのでしょうけれど、いい意味での諦念を持って、少しでも苦しみを和らげるしかありません。お世話になった方は、私には心配かけないようにとの思いだったのかもしれませんが、ガンで闘病生活を送っておられたとのこと。さぞ苦しかったろうと思います。

 

死によって苦しみのない世界に逝かれたのだと、そう考えて、愛別離苦と向き合うことにします。

 

南無阿弥陀仏。合掌。

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