年始のご挨拶

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年始のご挨拶

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2019/01/02 年始のご挨拶

新年、あけましておめでとうございます。

 

この文章を書いているのは、すでに元日を過ぎた1月2日深夜です。なぜ今になったのかは、正直に申しますと、元日は年賀状の作成に追われ、ご挨拶の文章を書く時間がなかったからです。2日中には、すべて投函したいと思いつつ。

 

昨年は色々な災害がありました。以前にも書いたように思いますが、古くは、災害が多いから、元号を変えようということもあったやに聞きますが、今回は、元号が変わるのをいいことに、災害が頻発しているような印象でした。

 

ただ、災害はこちらの都合は考えてくれません。災害といっても、地球や宇宙規模で言えば、単なるくしゃみ程度のことかもしれず、人間がそれだけちっぽけな存在だということでしょう。地球において一番頭のいい動物だと胸を張ってみたところで、自然には勝てません。また、人類は皆で力を合わせてこそ、なんとか生き残っているに過ぎない。個別には、ワニやサイ、スズメバチ、はたまた蚊にさえ、勝てないのが、人類です。蚊の媒介する細菌で死んでしまう程度の、「弱っちょろい」生物。それが人間です。

 

一年の計は元旦にありと言われるように、1月1日(元旦は特に午前中)は大事な日かもしれません。しかし一方で、単なる365日分の1日でしかないことも事実です。人間が、自分の都合で区切っているだけで、今年と来年、来年と再来年に何の違いがあるのか。

 

一休禅師は、「元日は 冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」という歌を作ったと言われています。類似の歌を色々作られているようですが、髑髏(しゃれこうべ=頭蓋骨)を杖の頭につけて、正月元日から「ご用心ご用心」と歩き回っていたというエピソードも残ります。その意味は色々に解釈されているようですが、ここでは論じないでおきます。

 

たまたま元日には災害は少ないように見えますが、あくまで偶然です。地球がひとたび人類に牙を向けば、元日であれ何であれ、きっと大きな被害をもたらすでしょう。とりわけ極寒の時期に電気やガスが使えない状況が長引けば、凍死者が続出するのは、想像するのは簡単です。

 

人類の叡智を信じないわけではありませんが、昨今の個人主義の行き過ぎ=利己主義を目にすると、ネアンデルタール人が滅んだとされる仮説が現実味を帯びます。すなわち、私たちの祖先であるホモ・サピエンスと少し異なるネアンデルタール人は、想像力に乏しく、宗教による集団の統率がなく、情報の共有がなかったとされます。単純に言えば、「これは食べられる」「これは食べられない」という情報が、あくまで個に帰属し、集団に共有されなかった。とすると、情報収集に長けた一部はまだしも、種族としてのネアンデルタール人は、滅ぶしかなかったということのようです。

 

先進国であればあるほど、個人主義の行き過ぎが目立ちます。個人主義自体はいいことなのですが、それが行き過ぎると、「俺さえ良ければそれでよい」という発想すなわち利己主義に陥ります。利己主義は、よりよい情報を持っている方が優位に立つのですから、他人には教えない。自己責任というある意味都合の良い言葉で、情報の独占を正当化する。富の独占を正当化する。

 

国のエゴも目立つのが現代社会ですね。どこの国でも、「自国ファースト」が声高に叫ばれます。これまで世界の警察を自認し、世界の秩序を保ってきた彼の国でさえ、自国ファーストを標榜する人を大統領にいただくようになりました。

 

話が長くなって申し訳ありません。正月から小難しい話で恐縮ですが、皆で手を携えてこそのホモ・サピエンス、共存共栄こそが私たち人類ではなかったか。聖徳太子(厩戸皇子)が述べられた「和を以って貴しと為す(以和貴)」や、仏教の真髄の一つと言える「自利利他」が基本になければ、そこには裸の王様がただ一人君臨する世界が出現するだけでしょう。

 

全ての多様性ある人類、また、生物が共存してこそ、この地球が存在する。その根本を捨て去った後には何も残りません。

 

平成の世が終わることも日本という一国が(自然の摂理に関係なく)自分たちの都合で決めたに過ぎないことではありますが、区切りもまた大事です。その区切り、節目に当たって、「以和貴」の大切さを再確認すべきではないかと思います。

 

正月を迎えるに当たって、仏華を生け替えました。コンセプトは、多種多様な植物の共存です。華瓶に入るだけの花を収めてみました。窮屈すぎず、バランスは取れたのではないかと思っております。

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元旦に当たって、ごく身内で修正会をお勤めし、その後御節をつまみながら、乾杯しました。毎年、いろんな御節を吟味しつつ、注文するのが楽しみです。作るのも楽しいですが、最近は趣向を凝らしたものが多数販売されていて、(試食できるわけではありませんが)どんな味なのかと期待しながら買うのも楽しみです。どれも美味しかったです。

 

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