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成功体験という思考停止
新型コロナウイルス。
阪神・淡路大震災や東日本大震災もとんでもない災厄でしたが、語弊があるかもしれませんけれども、今回は目に見えない敵(放射能も近いものはありますが)であり、しかも世界規模で広がっているので、個人的には生きている中で最大級の恐怖を感じます。なんというのでしょうか、いつ終息するのかわからない恐怖感。心理学の世界でも、期限のない恐怖、繰り返し来る恐怖の方が、精神に与えるショックは大きいとのこと。第二次世界大戦以降、大きな戦争に巻き込まれていない日本ですが、地震やらウイルスやら、人間社会は安穏とは生きていけない宿命なのかもしれません。言い換えれば、試練です。
東京オリンピックが延期となりました。多くの方が残念に思いながら、中止にならなくてよかったとの思いも持たれているだろうと思います。
ところが、延期に伴う追加費用が少なくとも3000億円、一説には6000億円を超えるという試算もあるようです。この費用を誰が負担するのか。基本的には都が負担することになっており、最終的には国が、ということは国民の税金で負担することになります。
何兆円もの経済効果が期待されるところではありますが、延期やその他の追加費用はバカにならず、経済効果も下手をすればマイナスかもしれません。少なくとも、プラスの経済効果とされていたうち2兆円はなくなるという試算もあるようです。
1964年、高度経済成長に乗っかって行われた東京オリンピックの成功体験を、今回また見せてもらおうじゃないか。そういう意識が働いたのは間違いなく、数年後には大阪万博。これもまるで1970年の大阪万博の後追いです。
私は、今になってこんなことを申しているわけではなく、オリンピック、万博招致が「成功」した当時のニュースに対して、FB等で不快感を表明しています。こんなことにお金を使うよりも、使い道はいろいろあるのではないか、と。招致の裏工作で怪しいお金も動いていたと言います。そこまでして招致する意味は何なのか、と。
もちろん、日本で開催する以上はそれを失敗せよと足を引っ張るつもりはありません。ただ、昔の成功体験にひきづられて失敗するケースは、一民間企業にあっても少なくないことです。だからこそ、思考停止することなく、新たな成功体験に結びつく方策を検討しなければならない。
オリンピックを開催した都市で、開催後にうまくいっているのは最近では北京だけではないでしょうか。リオでは、施設は負の遺産になっていて、不景気も拡大しているというニュースもありました。今回の新型コロナで、さらに大変なことになっているかもしれません。
アスリートの多くは、延期ではなく中止を望んでいるとのニュースもありました。いつ開催されるかわからないオリンピックに照準を合わせた練習はしにくく、むしろ中止にしてもらって、他の世界大会に照準を合わせた方がアスリートのためにはいいのかもしれません。
過去の成功体験にひきづられることなく、未来を見据えられる政治家が、求められていると感じた出来事です。札幌も、冬季オリンピック招致を諦めた方がいいように思います。札幌がお考えになることですけれども、後にも述べますがやるならばコンパクトオリンピックを目指すのがいいのではないかと。
オリンピックはもともとアマチュアスポーツの祭典だったはず。巨大化した商業主義に翻弄される日本はある意味哀れでもあります。単に運が悪かっただけとも言えますが、運に左右されるようなことでは、やはりまずい。オリンピックが自国開催されれば、経済効果があるだろう、楽しそうだという雰囲気だけ、感情だけで招致するべきではなかったと私は思います。もっと心配されていたのは地震であったり噴火であったりしたはずですが、まさかの新型コロナウイルス。日本ですべきではないよと、地球が怒っているようにも思えます。
オリンピックの内容を精査し、もう少しコンパクトなものにしないと、日本に負の遺産だけを残した最悪のオリンピックになるような不安にかられます。私は責任ある立場ではないですし、招致に賛成していた人間でもありませんから残念ながら口だけですが、責任ある立場の方には、これを機に、ぜひ商業主義を見直し、多額の金を出しているスポンサーの一言で酷暑の中アスリートの体力を奪うようなことはせず、より安全でアスリートファーストな大会を目指していただきたいと思います。もう今大会でそこまでのテコ入れはできないかもしれませんが、招致レースに手を挙げる都市も減っていると言いますし、次回、次々回と、スポンサーファーストではなく、アスリートファーストな大会を目指してもらえないものでしょうか。
24/04/05
23/12/23
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新型コロナウイルス。
阪神・淡路大震災や東日本大震災もとんでもない災厄でしたが、語弊があるかもしれませんけれども、今回は目に見えない敵(放射能も近いものはありますが)であり、しかも世界規模で広がっているので、個人的には生きている中で最大級の恐怖を感じます。なんというのでしょうか、いつ終息するのかわからない恐怖感。心理学の世界でも、期限のない恐怖、繰り返し来る恐怖の方が、精神に与えるショックは大きいとのこと。第二次世界大戦以降、大きな戦争に巻き込まれていない日本ですが、地震やらウイルスやら、人間社会は安穏とは生きていけない宿命なのかもしれません。言い換えれば、試練です。
東京オリンピックが延期となりました。多くの方が残念に思いながら、中止にならなくてよかったとの思いも持たれているだろうと思います。
ところが、延期に伴う追加費用が少なくとも3000億円、一説には6000億円を超えるという試算もあるようです。この費用を誰が負担するのか。基本的には都が負担することになっており、最終的には国が、ということは国民の税金で負担することになります。
何兆円もの経済効果が期待されるところではありますが、延期やその他の追加費用はバカにならず、経済効果も下手をすればマイナスかもしれません。少なくとも、プラスの経済効果とされていたうち2兆円はなくなるという試算もあるようです。
1964年、高度経済成長に乗っかって行われた東京オリンピックの成功体験を、今回また見せてもらおうじゃないか。そういう意識が働いたのは間違いなく、数年後には大阪万博。これもまるで1970年の大阪万博の後追いです。
私は、今になってこんなことを申しているわけではなく、オリンピック、万博招致が「成功」した当時のニュースに対して、FB等で不快感を表明しています。こんなことにお金を使うよりも、使い道はいろいろあるのではないか、と。招致の裏工作で怪しいお金も動いていたと言います。そこまでして招致する意味は何なのか、と。
もちろん、日本で開催する以上はそれを失敗せよと足を引っ張るつもりはありません。ただ、昔の成功体験にひきづられて失敗するケースは、一民間企業にあっても少なくないことです。だからこそ、思考停止することなく、新たな成功体験に結びつく方策を検討しなければならない。
オリンピックを開催した都市で、開催後にうまくいっているのは最近では北京だけではないでしょうか。リオでは、施設は負の遺産になっていて、不景気も拡大しているというニュースもありました。今回の新型コロナで、さらに大変なことになっているかもしれません。
アスリートの多くは、延期ではなく中止を望んでいるとのニュースもありました。いつ開催されるかわからないオリンピックに照準を合わせた練習はしにくく、むしろ中止にしてもらって、他の世界大会に照準を合わせた方がアスリートのためにはいいのかもしれません。
過去の成功体験にひきづられることなく、未来を見据えられる政治家が、求められていると感じた出来事です。札幌も、冬季オリンピック招致を諦めた方がいいように思います。札幌がお考えになることですけれども、後にも述べますがやるならばコンパクトオリンピックを目指すのがいいのではないかと。
オリンピックはもともとアマチュアスポーツの祭典だったはず。巨大化した商業主義に翻弄される日本はある意味哀れでもあります。単に運が悪かっただけとも言えますが、運に左右されるようなことでは、やはりまずい。オリンピックが自国開催されれば、経済効果があるだろう、楽しそうだという雰囲気だけ、感情だけで招致するべきではなかったと私は思います。もっと心配されていたのは地震であったり噴火であったりしたはずですが、まさかの新型コロナウイルス。日本ですべきではないよと、地球が怒っているようにも思えます。
オリンピックの内容を精査し、もう少しコンパクトなものにしないと、日本に負の遺産だけを残した最悪のオリンピックになるような不安にかられます。私は責任ある立場ではないですし、招致に賛成していた人間でもありませんから残念ながら口だけですが、責任ある立場の方には、これを機に、ぜひ商業主義を見直し、多額の金を出しているスポンサーの一言で酷暑の中アスリートの体力を奪うようなことはせず、より安全でアスリートファーストな大会を目指していただきたいと思います。もう今大会でそこまでのテコ入れはできないかもしれませんが、招致レースに手を挙げる都市も減っていると言いますし、次回、次々回と、スポンサーファーストではなく、アスリートファーストな大会を目指してもらえないものでしょうか。