災厄と宗教

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災厄と宗教

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2020/03/28 災厄と宗教

こんなご時世なので、少しインパクトがありすぎるかもしれませんが、こういったときに人の恐怖心につけ込むあくどい「宗教」(正確には宗教の名に値しませんが)もあると言いますので、お話をさせていただきたいと思います。

 

詐欺と一線を画す「宗教」。これを飲んだら治るとか、こうやったらウイルスにやられないといった類は、そんな効能がないのに売れば詐欺です(詐欺でないとしても、少なくとも誇大広告であったり、薬事法違反であったりします)。ところが、宗教は「信じる者は救われる」の世界ですから、「このツボを買いなさい」とか「しっかりとお布施をしなさい」、「さすれば新型コロナになど負けん」と言われると、詐欺なのかどうか線引きが怪しくなります。それをついてくるのが、似非宗教です。

 

私たち宗教家は、人々の心の安寧をもたらし、苦しい気持ちを少し和らげる手助けはできますが、それ以上ではありません。「怨霊退散!」もしないとは言いませんが、基本的には何もできません。

 

親鸞聖人に、こんな逸話があります。あるとき、飢饉があって農民が苦しんでいる。高熱で床に伏せっていたと言われていますが、何とかしてあげたいとの思いから、聖人はお経を唱え始めました。いわば雨乞いの祈祷です。しかし、はたと思いとどまり、「まはさてあらん」と、読経をやめたと。

 

阿弥陀如来に帰依し、阿弥陀様におすがりするしかないと心に決め、自力ではなく他力の信心こそが大事だと思っていたのに、まだ自分の中に自力の気持ちが残っていたことを悔やまれたとも言います。

 

本当の宗教は、火事場泥棒のように災厄をいいことに人間をたぶらかすようなことはしません。人が死ぬとか、地震だとか台風だとか。こんなことは、人間にはどうしようもないことです。どうしようもないことをどうにかしようとするから苦しい。

 

一方で、どうにかできることはどうにかしましょう。ワクチンの作成は専門家でないと難しいけれど、人間の叡智に期待したいと思いますし、私たち一般人は、感染予防に極力努めるべきです。手洗いうがいに歯磨き。人混みは避ける。

 

人間ができる範囲でできることはしつつ、「困った時の神頼み」はしない方がよろしい。困ったときに、正しい宗教家に相談なさるのはいいことですが、宗教家も人間。できることは限られている。私が正直に申し上げれば、苦しみ悲しみに共感し、少しでも和らげることはできても、完全に取り除くのは、その人自身。

 

地震、雷、火事、台風、未知の病気。宗教家にどうにかできるものではありません。ツボを買って治るわけはない。それだけは断言できます。

 

感染予防しつつ、できる限り普通の生活をしましょう。ノーベル賞の山中先生も長いマラソンのようなものだとおっしゃっています。4月中に収まるとか、夏までに収まるとは、誰も言い切れません。いつ終わるともしれない恐怖に慄いて引きこもるよりも(感染していれば隔離しないといけませんが)、日常生活をできる限り送りましょう。

 

最後に、新型コロナウイルスに関する情報を、リンクしておきます。

新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!~負のスパイラルを断ち切るために~(日本赤十字社)

山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信

 

感染症に関するいじめなども起きていると言います。宗教家として、教育者として、それが一番悲しいです。そういった負のスパイラルを断ち切るために、できる限りの努力をしていきたいと思います。

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