老いるとは

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老いるとは

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2020/09/27 老いるとは

秋のお彼岸も終わり、暑かった夏がウソのように朝晩涼しくなりました。

 

私たちがいろいろ悩んでみたところで季節は移り変わり、時は過ぎていきますね。

 

最近、両親ともに頭はまだボケてはいないものの、体の衰えが激しく、人間、歳を取るものだと、当たり前のことなのですが、実感しております。ご門徒さんのおうちに伺っても、衰えに関するお話ばかりしているように思います。

 

「歳は取りたくないものだ」

 

と言われたときに、どう答えるか。

 

「そうですねえ…」

 

何とも返答のしように困るのですけれども、

 

「私も含めて、誰しも老いるものですからね、これだけは、諦めの境地になるしかないですね」

 

と、大抵は返します。もちろん、相手あっての会話ですから、言い回しは変えることもありますけれど。

 

私も、刻一刻と死に向かって進んでいる。時折そのことを思い起こして、

 

「あと何年生きられるだろうか…」

 

と焦ることもあります。しかし、限りがあるからこそ、大事に、楽しく、懸命に、生きる気持ちにもなる。

 

東日本大震災の原発事故の際、放射能による癌の発生までには50年くらいかかる、40、50代の人間が除染に従事しても癌が発生している頃には寿命も尽きている、なんていう話がまことしやかに囁かれました。

 

専門知識はないので真偽はここでは置いておきますが、将来ある若者にさせるわけにはいかなくても、寿命を考えればちょっと思い切ったこともできる面もあります。もちろん老いれば体力も衰えますから、できることは限られてくるわけですが。

 

「明日死ぬかもしれない命、今できることを精一杯やろう」

 

コロナ禍は、人間社会のいろんな部分、特に闇の部分を炙り出したように思いますが、ただ、「普通」とか「日常」が続くことの尊さを感じた方は多かったのではないでしょうか。これほどまでに、従来の「日常」が奪われてしまうような出来事が、起こるとは予想だにしていませんでした。

 

寺の玄関に

 

「命は預かりものです 大切にバトンタッチしよう」

 

と掲示しました。バトンタッチというと子供がいなければできないのではないか、と思われるかもしれませんが、つい先日書いたように、私たちの命は、おそらく科学的に言っても輪廻転生しています。子供へのバトンタッチというより、これから生まれくるあらゆる命へのバトンタッチ。大切にバトンタッチする。自然環境への畏敬の念も含めて。老いることは、自然の流れであり、死は、自然のサイクル。当たり前のことが当たり前に行われる世界こそが、大事なのです。

 

佛華を生け替えました。今回はシンプルイズベスト。ひばを中心に、ぱっと見緑がほとんどですが、菊と赤いふさふさの毛(確か、「羽毛けいとう」と書いてありました)をワンポイントに。

 

今年もあと3ヶ月を残すのみ。今年できることは今年のうちに、来年に回していいことは来年に回して、できる限りのことを精一杯こなしましょう。

 

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#佛華#仏花#輪廻転生

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