陰膳という風習

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陰膳という風習

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2021/03/25 陰膳という風習

陰善をご存知でしょうか。

葬式の仕上げの席(例えば午前中に葬式をし火葬場に赴いたのちの昼食の席など)で、何度か経験があります。式場とご遺族の考え方次第ですので、必ずしもではありませんが、故人に手向けるのが陰膳です。

 

「お陰で見る目が変わった」 年配客が『食べないのに数人分注文』の理由とは

 

つい先日、このような記事が目に止まりました。私自身は葬式以外でこのような光景に出会ったことはありませんし、例えば一人の年配客が4人前注文された場合、まずは「え?」という感じになるだろうと思います。2人前でも、申し訳ありませんがその方の体型を見てしまうでしょう。代金払ってもらえるのだろうかと、店の立場からすれば不安でもあります。

 

記事にもありますように、家族全員が亡くなり自分だけがこの世に残されたような場合だとか、仲良し友達グループで自分が最後まで存命という場合に、一緒にいる気分を味わうとか、供養のためにということはあると思います。

 

そこはしかし、店との相談でしょうね。同じ量のものを4人前注文してちょっとしか食べないとなると、もったいない。「お金を払うからいいじゃないか」という問題でもないのが食べ残し問題です。持ち帰るにしても、結局家でまた食べるかというとゴミ箱に直行の可能性もあります。それを家族や友達が望んでいるかというと望んでいないでしょう。

 

店との相談で、自分が食べるものと内容は同じミニチュアにしてもらうとか、何か工夫が必要そうです。

 

ちなみに、真宗的にどうなんだと言われると、正直なところよくわかりません。お浄土に旅立たれた故人にこの世の食事を出したところで仕方ないというのが正しいのかもしれませんが、人間の気持ちは複雑です。亡くなった方と一緒にいたい、一緒のことをしたいという気持ちも大事。蛇足ながら記事には祈願としてする陰膳もあるとのことですが、祈願は真宗ではしませんけれども、ここでも人間の気持ちは複雑としか言いようがありません。それでご本人の気が済むなら、致し方ないのかなとも思います。

 

あまり周囲に迷惑をかけない範囲で、自分の気持ちにも正直になるにはどうしたらいいか。その場で食べられる量もしくは持ち帰って食べられる程度の内容にされるのがいいのかなと思います。

 

 また、記事には、周囲からすると気持ち悪い、怖いとの意見もありましたが、そこに死者がいるわけではなく、怖がるべきものではないでしょう。しかしそのような印象を持つのも仕方ないかもしれません。個室とか、お店と相談されるのが良さそうです。

 

冒頭で申しました葬式の仕上げの席の陰膳は、大抵ご遺族が食べておられます。私も、「その体格だと1人前では足りないでしょう」と、陰膳を一部いただくこともあります。「勿体無い精神」で、残すことはいたしません。

 

#陰膳

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