病苦とQOL

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病苦とQOL

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2021/04/13 病苦とQOL

先日、あるサイト(質問に対して、もっぱら専門家等回答をリクエストされた方が回答する)で、新型コロナの感染死者をグラフ化すると、自然死と同じような年齢階層となっていて特段怖い病気ではないという回答がありました。その回答をリンクしようかとも思いましたが、甚だ眉唾な内容で、リンクするのも憚られるかと思い、やめました。言葉で表しますと、例えば20代、30代、・・・70代、80代、90代以上と10歳ごとの死亡者数をグラフ化すると、20代は少なく、70代、80代あたりが多いグラフになるはずです。一方で、コロナ感染死者数をグラフ化しても同じ形なので、新型コロナでの死亡は自然死と変わらずなんら恐ろしいものではない、というのです。

 

この見解に対しては、また別の専門家の方が、病状ごとに年代別にグラフ化すれば例えばガンでもほぼ似たような死亡者数になるだろう、だからと言ってガンがとるに足りない病気だと言えるのだろうかとの見解を唱えておられました。ちなみにこのサイトは、結構腑に落ちる内容も多いですが、そうではないことも時折あります。

 

人が死ぬことは自然なことです。私の敬愛する親鸞聖人や一休禅師や良寛和尚などが、現代に生きていてくださればどんなに素晴らしい知恵を授けていただけるかと、すでに亡くなっておられることを残念に思っております。当たり前ですが、偉人と言われる方でも、死は当然に訪れるのです。

 

 私は医者ではありませんので、専門知識はないことを前提に申しますが、若い人がかかりやすい病気とか、女性が罹りやすい病気とか、そういうものがあるとはいえ、皆が死に向かって歳を重ねているとすれば、ガンとか、心臓病とか、そういう病因ごとに死亡者数をグラフ化すれば、基本的には自然死の死亡者数グラフと変わりがないのは当然ではないのかと思うわけです。

 

だからと言って、その病気はないのでしょうか。恐れるに足りないと言えるのでしょうか。

 

QOLという言葉をお聞きになったことはあろうかと思います。”Quality of Life”=「生活の質」とでも訳しておきましょう。生きる上で、私も膝と腰をよく痛めることがあり、とりわけひどかった時は歩くのも辛くて、「もしやこんな生活が一生続くのか」と愕然としたことがあります。QOLが低かったわけです。おかげさまで、今は普通に歩けるようになり、QOLは改善しました。膝が痛いからと寝込むのではなく、むしろタクシーなども利用しながら頑張って歩いたことがよかったようです。寝込むと筋肉が衰えたり、こわばったりするので、かえって悪化します(もちろん無理は禁物ですが)。

 

新型コロナに罹患することは、風邪の一種とはいえ風邪とは違う症状が出るようです。無症状のまま治る人もいるが、死に至る人もいる。重症化して、後遺症が残り、いわばQOLが低くなってしまった人もいる。

 

決して、新型コロナによる病気は、ないわけではないですね。感染しないに越したことはない。

 

病気は、QOLを低下させます。まさに病苦です。

 ただ、その一方でふと思ったのが、病気だからといって必ずしも死に直結するものではない。お釈迦様が死苦と病苦を別にお示しくださったのには、それなりの意味があった。

 

死は、間違いなくこの世とのお別れです。しかし、病は、この世とのお別れに直結する場合もあるが、この世での出来事です。この世で起こることです。病によって、QOLは下がるかもしれないが、人の情に触れたり、あるいは「人間万事塞翁が馬」で、怪我をしたことで出兵しなくてよかったなんてこともあります。

 

いつものごとく、文章が長くなりました。ここまでたどり着いた方、あともう少しですので、最後までよろしくお願いします。

 

人は死ぬ。

生まれたから死ぬ(生まれたことで、死が運命付けられるのです)。

病になって死ぬ。

老いて死ぬ。

人は死ぬ。

 

生まれたことが苦であることと老いの苦についてはこれまでも触れてきましたし、これからもまた触れることがあるかと思いますからここでは省略しますが、病によって死ぬこともあるでしょうし、死なないこともあるでしょう。インフルエンザや、通常の風邪でも肺炎をこじらせて亡くなる方は多数おられます。病になって死ぬから怖いのではなくて、病自体が怖い。死者数が自然死と同じグラフだからなんてことはないのではなくて、病自体が怖い。そして「苦」なのです。QOLを低下させかねないのです

 

新型コロナは怖くないと信じるのもいいですし、QOLに影響がなく、無症状で終わればしめたもの。人の情に触れて、ありがたい病もあるかもしれない。

 

でも、油断してたら、間違いなく「病苦」に襲われる。感染しなければ死なずに済んだのに、若い方でも死に直結するかもしれない。

 

御用心、御用心。

 

また一方で、最初に書いたように人間はどうせ死ぬのだから、感染したっていいやという無謀な、投げやりな態度はまたQOLを低下させます。病気になったら、やはり苦しいですよ。周囲にも心配をかけてしまいます

 

対策を講じていても感染している人はおられるようですから、用心には用心を重ねつつ、万一感染してもQOLを下げないために何をすべきかということも考えておかねばなりません。さらに死に至った場合は、運としか言いようがありません。これに対処するには、この世に後悔を残さない生き方をしておくしか、ありません。

 

#病苦#QOL#QualityofLife#死に至る病

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