六月-佛華を生け替えました。

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六月-佛華を生け替えました。

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2021/06/27 六月-佛華を生け替えました。

「摂取不捨」という言葉をご存知でしょうか。

 

阿弥陀様は、すべての衆生をすくい取り、誰一人として取り残さない、という意味です。

 

悪人正機という考え方も、難破している船から乗客が海に飛び込んでいる、善人(という自力の行者)は自らの力で岸まで泳ぎ切ろうとしているが、悪人(という自分では何もできない凡夫)は泳ぐこともできず船の周りでバタバタしている。岸から見ている阿弥陀様は、まず誰を助けるかというと、泳ぐこともできない悪人(凡夫)からである、ということです。善人でさえ救われるのだから、阿弥陀様は悪人を見捨てるわけがない。むしろ悪人から先にすくいとってくださるのです。

 

ところで先日、浄土真宗本願寺派の取り組みが当方もよく投稿しているSNSで話題となっていました。「お寺のビジョン作成研修2021」

 

お寺は非営利ですが、だからと言って収入がなくてよいわけではありません。僧侶やその家族も食べていかねばなりません。そういう意味では、現代資本主義社会において、寺だけが資本主義の荒波から逃れられるわけではなく、競争もまた必要です。ただ、非営利セクターが営利セクターと同じことをしてしまうと、逃げ場がない。資本主義には摂取不捨の思想はありません。勝者だけが勝つ。敗者は、敗者なのです。

 

もっとも、最近の議論の中で、SDGs(Sustainable Development Goals)という考え方が出てきました。「持続可能な開発目標」と訳され、大まかに言って17の目標が設定されています。ちなみに大学でも、新入生に教えなさいというお達しが来て、SDGsの専門家ではない私も、専門家の動画などを見ながら、関連した話などをしています。ご関心のある方は、こちら(外務省のページです)もご覧ください。

 

そのSDGsの中で、「誰一人取り残さない」というスローガンがあります。包摂性と表現されますが、早い話、先進国だけでなく全ての国が、そして全ての人が、取り残されることなく、一緒に進んでいこうということです。

 

仏教の教え、浄土真宗の教えに、社会がようやく追いついてきた。「摂取不捨」と「誰一人取り残さない」。

 

お寺のコンサルタントをされる取り組みの中には、勝ち組負け組を作り、勝ち組がうまくいけばその他の寺院にもいい恩恵がいく(トリクルダウン)という考え方に基づいて運営されているケースがあります。しかし、そういう運営をされる方は、人間の欲の深さをご存知ないかのように感じます。勝ち組はもっと勝とうとします。負け組に恩恵が来ることなどないのは、すでにアベノミクスで日本国民の間での格差が広がったことにも現れています。もちろんお寺の世界なのだから、勝ち組が必ずしも貪欲に自分だけのことしか考えない方ばかりではないでしょうけれど。

 

仏教寺院は、資本主義的な発想だけで活動すべきではない。それだけは断言できます。資本主義的な勝ち負けを仏教が是認した段階で、負け組はもうどうやってもそこから抜け出せなくなる。そうではなくて、抜け出す方法を考えようじゃないか。仏教に勝ち負けは似合わない。競争しつつも、互いに高め合うことが目的。先述の本願寺派の取り組みは、各寺院の強みを考え、各寺院が持続可能な寺院運営計画書を考える。非常に期待感のある内容です。当方は参加できないのが非常に残念です。

 

もちろん、かっこつけてみたところで、僧侶も生きていかねばならないので、私も欲があることを隠すつもりはありません。寺として安定した運営ができるなら、これに勝る望みはない(私事を申せば、都心にある当寺ではマンション経営で収入を安定させようと努力しておりますが、資本主義の荒波にもまれ、またコロナ禍もあり、必ずしも安定収入とはいきません)。収入安定を求めつつ、でも、非営利企業は資本主義のカウンターパートでもあることを寺が忘れたとすれば、存在意義の放棄です。

 

話は少し飛びますが、公企業の民営化を手放しで支持していいのかというと、実はそうはいきません。国鉄の民営化や郵政の民営化は政局に関係しましたが、いい面もあるが悪い面もある。とりわけ、公企業は儲からないことでも市民サービスに大事であればそれをやめるべきではない。民営化して行政のシステムから切り離されてしまうと、そこは資本主義の論理に乗っからざるを得ず、不要とあらば破綻や吸収合併という形での他企業への身売りなどにつながってしまうこともある。とりわけライフラインの一つである水道は必ずしも儲かるものではない。コストのかかる設備(浄化槽など)が必要だが、だからと言って水を高額で売ってよいものではありません(生命維持に欠かせないものなのですから)。実際、民間企業が2リットル百円くらいのペットボトルを販売していますが、水道局がその値段に準じて水道代を徴収したら、おそらく暴動が起きるでしょう(大阪市では10立方メートルまでなら上下水道代は2000円程度ですが、民営化されたとしてコストベネフィットを考えるとこれが10倍20倍になる可能性はあります)。

 

民営化されることでサービス向上につながることもありますから全て否定するつもりは全くありません。ただ、民営化にはメリット・デメリット両方あるのです。

 

「誰一人取り残さない」取り組みは、国連主導で行われています。民間企業の協力を仰がねば実現はもちろん難しいですが、民間企業が主体ではないということはどういうことを意味しているのか。

 

さて、6月になってもう3度目の佛華の生け替えです。鶏頭を真ん中に、洋花のセットがキレイでしたので、それを合わせ、さらに菊とソリダスターでボリュームを出してみました。

 

花は、争わない。青色青光、黄色黄光、赤色赤光、白色白光、微妙香潔。どれも、美しい。

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補足です。SDGsが資本主義をよい形のニュー資本主義もしくはポスト資本主義になるかどうかは、予断を許さないところです。例えば以下の記事のような指摘があることも忘れてはいけません。ただ、資本主義の短所を補おうとするものではあります。

「SDGsで危機は脱せない」”緑の資本主義”の欠陥-失敗したらやり直せない地点に近づいている

 

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