市井の人

テレビ番組に、「ポツンと一軒家」というのがあります。衛星写真で見つけた人里離れた場所にポツンと建つ家を訪ねて、住民に話を聞くのですが、大抵「人に歴史あり」を感じる素晴らしい内容です。

ご本人やそのご先祖さまからすれば普通に生活していただけでも、そこに歴史がある。歴史というのは、後世に伝えられるのは英雄や政治家など有名人だけですが、歴史に描かれることのない市井の人が、この世界を形作っている。それを感じさせてくれるものです。結果として、非常に人気の高い番組になったようです。

もっとも、逆説的に申しますと、市井の人がテレビの取材対象になるとそれだけで何か英雄のようになってしまうということも確かです。私としては、ごく一般の方が「英雄」になるのはいいことだと思っています。ただ、市井の人ではないけれど、昨今政治家がテレビ番組にバンバン出ることで、「よく頑張っている」という評価を得ることがある。むしろ、それを狙っているかのように売れっ子芸人顔負けで番組に出ずっぱりの首長もいます。

昔の政治家の方が今よりよほど働いていた人がいたわけですが（汚職も少なくなかったことはさておき）、昔はテレビに出てなくても評価されました。というより、テレビに出てる暇があればやるべきことがあるんじゃないの？とも思います。

市井の人は、コロナで大打撃を受けている。それでも逞しく生きているのを見ると、正直なところ、感動して泣けてくるときもあります。政治家も人間であるとはいえ、政治家として守られているところもあるわけですから、テレビに出てないで、もう少しコロナ対策等頑張ってほしいなと思ったりします。

政治家だけでなく、テレビに出ていると「エライ人」と思いがちですが、テレビに出ていることが評価の基準になるのは、違うと思います。テレビに出る人はそれなりの意味があり偉い人であることが多いでしょうけれど、あくまで、テレビ局の方針と出演者の意思に基づくものであって、本当に偉い人でもテレビに出ていない人は多々おられます。

上から目線で批評するつもりはありません。私も紛れもない市井の人であり凡夫そのものです。逞しく生きようと思います。

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