お地蔵様と真宗

超願寺

06-6631-8956

〒556-0016 大阪府大阪市浪速区元町1-12-3

lv

お地蔵様と真宗

ブログ

2021/08/10 お地蔵様と真宗

関西では、もうすぐお盆です。そしてその後、地蔵盆の季節になります。

 

地蔵菩薩は、いわばスーパーマンのような働きをされる仏様で、まず、お釈迦様が入滅された日から、56億7千万年後に弥勒菩薩がこの世の救済のために降臨するまでの間、お釈迦様に代わって衆生を救済する仏様とされます。

 

また、自由自在に六道(天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道)を行き来でき、地獄から衆生を救うこともあります。

 

お地蔵さんは特に子供の守り神(守り仏?)とされ、賽の河原で鬼にいじめられている子供たちを助けます。逆縁(親よりも早く亡くなること)は悪いこととされ、鬼は子供が積み上げた石をすぐに倒してしまいますが、草鞋を履いたお地蔵さんは、颯爽と救いにやってきてくれるのです。

 

衆生を見守るかのように、街角にはお地蔵様が祀られていることが多く見られました。実際、当寺周辺は今は都心でマンションの多く建つ地域ですが、ほんの数百メートル四方のエリア内に、何体も祀られています。皆さんも、お住まいの地域で探してみてください。あ、こんなところにという発見があると思います。もっとも、新興住宅地ではないかもしれませんし、西日本以外ではお地蔵様ではなく道祖神が祀られていることがあるかもしれません。

 

当寺で地蔵菩薩を祀るようになってまだほんの50年ほどですが、実は長らくひっそりと祀っており皆さんからは見えないところにありました。4年前、お地蔵さんは広く衆生を見守る立場、皆さんを、また皆さんから、よく見えるところにと、現在地にお移りいただきました。

 

img_5803

(2017年、御遷仏直後の真新しい祠とともに)

 

さて、先にも述べましたように、お釈迦様入滅後56億7千万年後まで仏がいない(無仏)間をお地蔵様が衆生を救済する、というと真宗の教えとは異なってしまいます。阿弥陀様にただおすがりするのみ(南無阿弥陀仏)というのに、なぜお地蔵様?と。無仏って、阿弥陀様はいないの?と。

 

仏様の世界は煩悩のない世界。それは私たちにはわからないこと。私たちは煩悩からできているのであり、煩悩のない世界を考えたところで、妄想でしかない。なんとも歯痒いところですが、阿弥陀様にもお地蔵様にも、弥勒菩薩にも、会うことはできません。仏像を通じて何となく想像できるとしても。

 

真宗は、阿弥陀様こそが最高の仏であり唯一の尊崇の対象ですが、かといって他の仏様を否定することはありません。繰り返し申しておりますように、多くの仏様が東西南北上下の世界を守っておられる様子が、仏説阿弥陀経には記されています。お地蔵様が六道をかけ巡って衆生を救済していたとしても、それは阿弥陀様の意思となんら異なるものではありません。

 

今の時代が無仏かどうかはこれまたよくわかりませんが、末法思想からすればまさに仏の教えが廃れていく最中。見えないことはないこと、唯物論ではありませんけれども、衆生には感じ取ることのできない、仏の世界をないものと捉えているのが現代であることは間違いない。遠藤周作の『沈黙』の如く、仏様がいるなら、この世の苦しみを全て取り除いてくれよ、なぜ何もしてくれないんだという気持ちもわかります。

 

何を救うかは仏様に委ねざるを得ず、もしかすると、知らぬ間に私たちの苦を取り除いてくれている場面もあるのかもしれません。一寸先は闇。本当なら事故に遭っていたはずなのになんらかの力で助かったのかもしれませんし、それに気づいていないだけなのかもしれない。

 

仏様は今の時代もいるのです。私たち一人一人に仏性が宿っているように。

 

話がどんどん逸れていってますが、元に戻して結論めいたことを申します。

 

お地蔵様も阿弥陀如来の大きな願いである全ての衆生を苦しみのない世界へ救いとるというご意思に合致したことをされているのですから、真宗だからと言ってお地蔵様を否定する必要はありません。

 

当寺のお地蔵様は正式には「平和地蔵尊」と名付けられています。戦争のない平和な世界を望んで、街角に佇んで、皆さんを見守っておられます。

 

ちなみに、関西ではお盆を8月13〜15日としますが、元々は8月初旬から下旬までを広くお盆の季節としており、8月24日のお地蔵様の縁日もお盆の一環として地蔵盆とされていたようです。今はお盆(正式には盂蘭盆)が短くなったので、時期が少し離れてしまいました。

 

(補足8/15)

お盆の時期については、旧暦の7月13〜16日がお盆の時期とされていたこととの関連で、新暦になってから8月13〜16日がお盆の時期とする説が一般的なようです。上に紹介した説は一説に過ぎないことになりますが、いずれにせよ、古くは厳密に期間を区切ったりせず、15日を中心にその前後ということだったのかもしれませんし、毎月24日がお地蔵さんの縁日であるところ、8月はお盆と近いので地蔵盆と呼ばれていたのでしょう。

 

(補足8/11)

昨年にも、同じテーマでブログを書きましたので、よろしければそちらもご覧ください。

浄土真宗で地蔵盆?

 

また、別の真宗のお寺で、地蔵菩薩を客仏として祀っていることもあるとか。同じ仏教なのですから、それくらいおおらかでいいと私は思います。

東之坊本尊の地蔵菩薩像

 

#真宗

#お地蔵様

#地蔵菩薩

#お盆

#地蔵盆

TOP