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法名(戒名)について
皆さん、法名(戒名)について、どのように理解しておられるでしょうか。
ちょっと調べたいことがあって、ある検索エンジンで「戒名 法名」と入力して検索してみたら、上位に上がっているのは、葬儀屋さんや仏壇屋さんなどで、寺院関係者や仏教学の研究者のものはなかなか見つかりませんでした。
また、そこに書かれていることは、仏教徒が見たらギョッとするような内容もあり、もう少し正確に解説すべきだと思いました。もっとも、私は真宗僧侶であり、全宗派の知識があるわけではありませんので、その点はご容赦ください。
まず、法名(戒名)は、死後に与えられる名前だとの説明がありましたが、法名(戒名)は、仏弟子となったことの証ですから、生前でももらうことは可能です。それが証拠に、僧侶は、僧侶となる際に法名(戒名)をいただきます。また、真宗だけではないと思いますが、僧侶にならなくても、門徒として宗派に帰依することで、在家のまま法名をもらうことができます(浄土真宗は在家仏教とも言われ、僧侶であっても出家という発想は厳密に言えばありません)。帰敬式と言いますが、一般にはお剃刀(おかみそり)とも言い、髪を剃るかのごとく(真似事だけです)、ご門主によって頭に剃刀を当てます。
また、法名(戒名)は2万円からとの記述もありましたが、これは当佛光寺派では生前法名(帰敬式受式)の冥加金として定められており、それ以上はお気持ちでおいくらでもということです。ただ、当寺では、葬儀の際に法名を付ける場合は、お布施に含めており、特に法名のためにプラスでいくらいただくということはしておりません。
ただし、院号法名は別です。院号は元々一院を建立できるくらいお世話になった方に寺院からお礼の意味で授けるものであり、そもそもは皇室、公家や武家などかなりの身分の方が対象でしたし(皇室や貴族は院号、武家は院殿号が一般的だったようです)、その後豪商などお金持ちに、さらに庶民に広がったと思われます。したがって現在の価値では何千万という話になるのでしょうが、現在はそこまでを要求することはありません。当佛光寺派では死後につける(葬儀の)際は20万円以上、生前院号法名は19万円以上だったかと思います。
本当は、金額だけが一人歩きする懸念もあり冥加金の額はここで書きたくなかったのですが、ネット上では様々な憶測というべきいろんな額が述べられており、反対にこうやって正直に記載することで、ご参考になればとあえて記載しました。
お気持ちとしてたくさんいただければ、寺院としてもありがたい限りです。寺院は門徒(檀家)様はじめ多くの関係者の方の喜捨(お金に限りません)によって成り立つものです。しかし、「坊主丸儲け」と言われたり、言葉は悪いですが「やらずぼったくり」みたいに思われている方も多いのではないでしょうか。寺院運営にはコストもかかります。法要や行事には当然費用が必要です。荘厳や法衣も安いものではありません。後継者の育成や僧侶としての研修なども欠かせません。決して坊主丸儲けではないということをご理解いただければ、幸いです。
なお、戒名とは、僧侶が守るべき戒律を守るんだという意思表示としての意味があり、そういう戒律を重んじる宗派で用いられます。一方、浄土真宗は戒律を持たないので、法名と言います。お釈迦さまも「戒律を捨てよ」とおっしゃいました。その意味は、戒律に気を取られすぎてはいけないということです。お釈迦さまは何よりも執着しないということを重んじられました。ルールを破って生きよという意味ではなく、ルールに縛られるなということです。浄土真宗も、出家せず俗世での生き方の中で浄土往生を求める。俗世でのルールを無視せよとは申しませんし、不殺生、不邪淫など、当然守るべきことは守る。でも、それでも凡夫の私にはそのようなルールを破らないとは言い難い。阿弥陀様は、そんな弱い私こそ、掬い取ろうとしてくださるのです。
ご参考になれば幸いです。
#法名 #院号法名 #院号 #浄土真宗 #真宗佛光寺派
25/06/04
24/10/12
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皆さん、法名(戒名)について、どのように理解しておられるでしょうか。
ちょっと調べたいことがあって、ある検索エンジンで「戒名 法名」と入力して検索してみたら、上位に上がっているのは、葬儀屋さんや仏壇屋さんなどで、寺院関係者や仏教学の研究者のものはなかなか見つかりませんでした。
また、そこに書かれていることは、仏教徒が見たらギョッとするような内容もあり、もう少し正確に解説すべきだと思いました。もっとも、私は真宗僧侶であり、全宗派の知識があるわけではありませんので、その点はご容赦ください。
まず、法名(戒名)は、死後に与えられる名前だとの説明がありましたが、法名(戒名)は、仏弟子となったことの証ですから、生前でももらうことは可能です。それが証拠に、僧侶は、僧侶となる際に法名(戒名)をいただきます。また、真宗だけではないと思いますが、僧侶にならなくても、門徒として宗派に帰依することで、在家のまま法名をもらうことができます(浄土真宗は在家仏教とも言われ、僧侶であっても出家という発想は厳密に言えばありません)。帰敬式と言いますが、一般にはお剃刀(おかみそり)とも言い、髪を剃るかのごとく(真似事だけです)、ご門主によって頭に剃刀を当てます。
また、法名(戒名)は2万円からとの記述もありましたが、これは当佛光寺派では生前法名(帰敬式受式)の冥加金として定められており、それ以上はお気持ちでおいくらでもということです。ただ、当寺では、葬儀の際に法名を付ける場合は、お布施に含めており、特に法名のためにプラスでいくらいただくということはしておりません。
ただし、院号法名は別です。院号は元々一院を建立できるくらいお世話になった方に寺院からお礼の意味で授けるものであり、そもそもは皇室、公家や武家などかなりの身分の方が対象でしたし(皇室や貴族は院号、武家は院殿号が一般的だったようです)、その後豪商などお金持ちに、さらに庶民に広がったと思われます。したがって現在の価値では何千万という話になるのでしょうが、現在はそこまでを要求することはありません。当佛光寺派では死後につける(葬儀の)際は20万円以上、生前院号法名は19万円以上だったかと思います。
本当は、金額だけが一人歩きする懸念もあり冥加金の額はここで書きたくなかったのですが、ネット上では様々な憶測というべきいろんな額が述べられており、反対にこうやって正直に記載することで、ご参考になればとあえて記載しました。
お気持ちとしてたくさんいただければ、寺院としてもありがたい限りです。寺院は門徒(檀家)様はじめ多くの関係者の方の喜捨(お金に限りません)によって成り立つものです。しかし、「坊主丸儲け」と言われたり、言葉は悪いですが「やらずぼったくり」みたいに思われている方も多いのではないでしょうか。寺院運営にはコストもかかります。法要や行事には当然費用が必要です。荘厳や法衣も安いものではありません。後継者の育成や僧侶としての研修なども欠かせません。決して坊主丸儲けではないということをご理解いただければ、幸いです。
なお、戒名とは、僧侶が守るべき戒律を守るんだという意思表示としての意味があり、そういう戒律を重んじる宗派で用いられます。一方、浄土真宗は戒律を持たないので、法名と言います。お釈迦さまも「戒律を捨てよ」とおっしゃいました。その意味は、戒律に気を取られすぎてはいけないということです。お釈迦さまは何よりも執着しないということを重んじられました。ルールを破って生きよという意味ではなく、ルールに縛られるなということです。浄土真宗も、出家せず俗世での生き方の中で浄土往生を求める。俗世でのルールを無視せよとは申しませんし、不殺生、不邪淫など、当然守るべきことは守る。でも、それでも凡夫の私にはそのようなルールを破らないとは言い難い。阿弥陀様は、そんな弱い私こそ、掬い取ろうとしてくださるのです。
ご参考になれば幸いです。
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