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超願寺

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情け

2017/07/04 情け

たまには、仏教から少しだけ離れて政治のお話を。

昨今の政治状況に不安な気持ちをお持ちの方は多いのではないでしょうか。

 

ポスト・トゥルース(訳しにくい言葉ですが、真実を重視しない立場と言えるでしょう。直訳すれば脱・真実)や、オルターナティブ・ファクト(これも訳しにくいですが、ありうる別の事実とでも訳せるでしょうか。極端に言えば、うそであっても、事実かもしれないと思わせること。代替的事実)といった言葉が多用されます。

 

アメリカだけでなく、日本でも裏も取らずに人をおとしめる代替的事実を提示したり、意見を通すためにかなり眉唾な情報がまことしやかに喧伝されたりします。仏教では嘘も方便と言いますが、あくまで相手を思いやり、正しく理解してもらうための嘘なら、という条件が付きます。代替的事実を並べ立てる、シャレにならない嘘をつく、というのであれば、正しく理解しようがないでしょう。

 

とりわけ、対決姿勢を演出するやり方。何代か前の首相が得意としていました(◯◯劇場と呼ばれていました)が、その後は例えば大阪都構想でも、賛成派の急先鋒の首長から、反対派は既得権益を奪われるから反対しているんだとか、改革を拒否するやる気のない連中だとレッテルを貼られました。

 

しかし、反対派に理解してもらってこその政治ではないでしょうか。賛成派ばかりなら、政治家はいらないはずで、政治家がいるのは反対派との妥協点を見出し、さらにいい案を作り、より多くの人に賛同してもらう。賛同までではなくても、まあ、仕方ないなと思えるように、説明責任を尽くす。

 

反対派も同じ府民、国民であるのに、賛成派が「あんな人たち」に負けられないという態度なら、反対派は硬化するだけで、審判が下った後もノーサイドという気持ちにはならないでしょう。

 

私はドラゴンボールのような、ガチンコ勝負の末にライバルたちも仲間になる、そういった情景に惹かれます。政治家は、そうであるべきで、自分のお友達は守るけど、ライバルがどうなろうと知ったこっちゃないというのであれば、任侠の世界と何も変わらないのではないでしょうか。

 

情けは人のためならず。国民全体の融和を図る。弱腰である必要はありませんが、反対派、少数派、弱者にも優しい政治を期待したいものです。

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