当たるも八卦

皆さんお元気ですか？

私、最近かなりの深い悩みにさいなまされております。こんなことを書くと、「僧侶が悩むのか？」と思われるかもしれませんし、「そんな体たらくの僧侶に、何も頼めないよな」と思われるかもしれません。

しかし、私も生身の人間、苦悩するのは、まさしく凡夫だからこそ、仕方ありません。悩みが深いほど、悩みの本質が理解できるかもしれず、苦に立ち向かう気持ちを強く持てるかもしれません。もしお悩みの読者の方がおられれば、一緒に悩み解決の糸口を考えることはできます。

弁解はそれくらいにしておきますが、こういう悩んでいるときに、SNSで「無料占い診断」みたいなのが目に飛び込んできましたので、「ま、ちょっと面白がって登録してみるか」と登録してみました。

するとどうでしょう、返事のメールにはいいこと書いてある。ほお、そんなにいい運気なんだ、人生がいい方に転換していくのか。いい気持ちにさせてくれます。

もっとも、さらに深く診断してほしければ有料ですよ、もっと個人情報教えてね、という内容のメールが、以降１週間に約４０通。私のメールフォルダには、同じメールアドレスからのメールばかりになってしまいました。

占いに頼りたくなるくらい、苦しい気持ちになってます。苦しくて苦しくて、そんな生活が、もう２年以上続いています。時間が経てば和らいでいくかと思いましたが、むしろ苦悩は深まるばかり。無料だし、ちょっとどんな回答かなと興味もあって登録したわけです。

来るメールの内容には一切脅し文句はないですし、むしろいいことばかり書いてくれています。今すぐにでも億万長者になり、苦悩は全てなくなるかのような書きっぷり。

某国の大統領でも、最後の最後、いくら考えても決断できないようなときには、人智を越えた何か（宗教であったり占星術であったり）に頼ることがあると言いますから、決断しなければならいのに、理屈で考えても決断しかねるときに、背中を押してくれるものとして、こういったことに頼ること自体は、一概に否定はできないでしょう。

とはいえ、のめり込み過ぎは絶対にダメです。私も、有料（といっても数千円単位）ででも自分が実験台になるつもりで（※）、診断してもらおうかとも思いましたが、やめました。数千円が１万円、１万円が１０万円にと、診断料が上がっていったら、お金がもったいないですから。

「苦しい時の神頼み」とはよくいったもので、日本人が宗教心を失っているのは、この世での暮らしが苦しくなくなって、特に何かにすがらなくても生きていけるからかもしれません。でも一方で、苦しみがない人なんていないのではないかとも思います。それでも宗教心がなくなったのは、宗教がそれに応えていないからかもしれないですが、簡単に手に入る（本当は簡単ではないけれど簡単そうに見える）エセ宗教に惑わされてしまう側面があるのかもしれません。それに飛びついてしまっている。現代においても、各大学は、「変な」宗教（ただし宗教とは見せない）勧誘のサークルに神経をとがらせています。思春期真っ只中の学生にとっては、悩みを手っ取り早く解決してくれそうで魅力的に映るのかもしれないそういったものが、手を替え品を替え、大学生を狙っているからです。

どうやって苦に立ち向かうか、私も悩み続けようと思います。ただ、安易に変な誘いに乗るべきではないです。悩むのも、悩みを解決するのも、自分の心次第。他人には、解決の糸口はもらえても、全て解決してもらえることはないと心得るべきです。

まあ、顔の見えないネットの向こうの占い師ではなく、難波のこの地にも大勢占い師を生業としている方がいますので、ちょっと相談しにいってみましょうか（笑）

（※）よく、マスコミが、わざとネット上の振り込め詐欺などに騙されてみるということをやっていますが、私もそんな気持ちでした。占いだし、詐欺ではないのでしょうけれど、１週間に４０通送ってくるというのは、少し怪しいですよね。実験台になるにも、マスコミには取材費として会社から費用が出るでしょうけれど、私は個人ですし、やはり怖いです。

なお、読者の皆さんに占いを勧めるつもりはありません。もし占いしてもらおうかなと思われたとしても、ほどほどに、お遊び程度になさっておいてください。