怨憎会苦

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怨憎会苦

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2019/07/29 怨憎会苦

先日来、死(自死)ということ、老いるということについて、このブログで述べました。お釈迦様の時代から、根本的なこの世の苦として語り継がれている生・老・病・死のうちの2つの苦。

 

今日は、これに加えてさらに4つあるとされる苦の1つ、怨憎会苦(おんぞうえく)について、お話ししようと思います。

 

言葉の通り、憎い相手に出会う苦です。お釈迦様ほどの方でも、憎い人に出会うのかと不思議でもありますが、悟りを開く前にはそういうこともあったのかもしれませんし、悟ってからでも、教団に敵意を向ける人もいたのかもしれません。後者の意味すなわちこちらが憎く思わなくても、相手がこちらを憎むことはあるのかもしれず、そのことで気を病むということはあるでしょう。お釈迦様も、ご本人は苦にされていなかったとしても、怨憎会苦に苦しむ衆生に対して、いろいろ説法されたかもしれません。

 

 私ごとで恐縮ですが、私は基本来る者は拒まず、去る者は追わずの姿勢で対応しておりますところ、最近、やたら嫌われます(といっても、もちろん多くの方から嫌われるということではなく、一部私を嫌う方が散見される、というにすぎませんが)。思想的にも柔軟なつもりだけれど、むしろ周りが高齢化して、思想が凝り固まっているようにも思えますし、私の(柔軟すぎるのか、言うことはズバッと言うところかわかりませんが)態度が、気に入らないのでしょう。

 

小中学校では、いじめっ子にいじめられもしましたが、大人になってから出会うと、くだらんことだったなあと思うこともあります。また大学院時代には、同級生に嫌われてえらい目にあったこともありますから、年齢には関係なく水と油の存在はあるのかもしれないなあとも思います。

 とはいえ、年齢を重ねるにしたがって嫌われる機会が増えたとすれば、私の人間性が悪くなったのかもしれませんが、相手も自分の信念に凝り固まってくるのかもしれません。昔、有名企業の(子会社の)社長さん(60代、私はそのとき30代)とお話をしていて、「この歳になると、気の合わない人、嫌いな人といるのはしんどいよ、できる限り仲のいい人といる方が安らぐ」とおっしゃっていたのが、なんとなくわかります。本当に嫌われている方なら社長にまではなっていないでしょう。でも、気の合わない人間というのは、この世におそらく必ずいて、その人と出会ってしまうかしまわないかは、ご縁に委ねざるを得ない。多分、「男には、外に7人の敵がいる」のは今の時代も変わらないのでしょう(現代は女性でもそうかもしれません)。

 

嫌いな人、嫌われている人がいない方は良いご縁に恵まれておられるわけですが、おそらくは出会ってしまった方の方が多い。だからこそ、怨憎会苦を、お釈迦様も8つの苦(※)のうちの1つとしてお示しになったのでしょう。

 

とすれば、そういう人と出会う運命だったのだろう、他生の縁で、いがみ合う何かがあったのだろうと思うしかありません。一緒に仕事をしていたりすると何とか仲直りしたいと思う面もあるでしょうし、仕事に支障をきたすのであれば、大変です。ただ、大人の対応をするしかありませんね。向こうも大人な対応を取ってくれることを信じて。まあ、相手が上司だったりすれば、これはパワハラに発展したりという可能性も否定できませんが、その時は、法の力も借りて対処するしかありませんし、可能であれば部署の異動を人事に願い出るなど、「逃げるは恥だが役に立つ」的な対処も必要です。無理に嫌いな(嫌われている)相手との仲を何とかしようとするのは、返って状況を悪くする場合が多いように思います。

 

かく言う私も、ある意味諦めております。そのうち雪解けもあるかもしれませんし、なかったらなかったで、そのうち顔を合わすことすらない関係になっていくのだろう、と。死後、もし仮に私がお浄土に行けなくて、また輪廻転生してこの世に戻ってくることがあったとしたら、またいがみ合う関係で出会ってしまうかもしれませんが。

 

7月も終わりに近づき、佛華を新たに活けました。梅雨も明けたようですし、ひまわりを中心に据えてみました。花は、いがみ合ったりしないのに、人間って、疲れる生き物ですね。いや、もしかしたら、花同士も、合う合わないがあるのかもしれませんけれど、でも、青い花は青、黄色い花は黄、赤い花は赤、白い花は白に、それぞれ色鮮やかに咲き、ほのかな香りを放って他を邪魔しない。それが花というものでしょう。

 

(※)以前にも述べたかもしれませんが、念のため申しておきますと、生・老・病・死を根本的な4つの苦とし、これに加えて愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五蘊盛苦の4つの苦があるものとされます。一般に多くの困難に直面することを「四苦八苦」と言いますが、合わせて12の苦があるわけではなく、全部で8つの苦を、お釈迦様はお示しになりました。

 

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