お布施について

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2020/09/11 お布施について

繰り返しこのブログでもお話ししていることですが、お布施について、特に葬式の際は必ず質問を受けますので、改めて、お話しさせていただきます。いつものごとく少し長くなりますが、要点だけ、先にお示しします。もしご関心がありましたら、最後までお読みいただければ幸いです。

 

今回文章を書くにあたって、気になったのはこの記事でした。

菩提寺からの高額なお布施の請求に困り、檀家をやめたい お墓のお悩み相談室

 

高額なお布施の請求なんて、なぜするのかわかりませんし、離檀料を支払う必要はありません。私もこの悩み相談の回答と同意見です。信教の自由は保障されます。

 

ただし、お布施に関する要点としては、これに尽きます。

 

 お布施というのは、サービスの対価ではありません。

 

檀家さんというのは、本来、お寺のスポンサーの意味合いが強かったものです。お布施というのは、したがって檀家さんが寺に対して寺の維持増進のために支払う性質のものでした。お経を読んだこと(サービス)の代金として支払うものではありません。私としてはどちらかというと贈与に近いのではないかと考えています。これを寺が誤解していると、高額の布施の請求になってしまうのでしょう。贈与ですから檀家さんが思うだけの額を支払えばよいのであって、100万円くれ、なんて寺から贈与を求めるのは間違ってます。

 

離檀料については、スポンサーが減ると寺も困ります。ですので、一定程度ほしいという気持ちは理解できなくはないけれども、檀家を辞めたいと思われるのは、檀家さん側のご都合ももちろんあるでしょうけれど、お寺が檀家さんを蔑ろにしてきたということもあるでしょう。

 

檀家さんとの距離は一様ではありません。近しい間柄もあれば、そうではない場合もあります。当寺は都心にあり、ドライな関係の檀家さんも多いですし、離檀料なんてことを考えるまでもなく、日々の(お盆や彼岸、あるいは月命日の)お参りを転居や体調不良、今でしたらコロナなど諸事情により遠慮されることによって、次第に疎遠になることもあります。わざわざ追っかけて離檀料を払えなんて言うよりも、また何かのご縁で復活することがあればいいなと思うことにしています。

 

寺と檀家さんの関係も人間関係ですから、互いに煩わしいこともありつつ、しかし互いに協力し合ういい関係がある中でお布施というものはあるのだと思います。

 

なお、お寺も生きていかねばなりませんから、いくらお気持ちでよいと申しましても、子供のお小遣いみたいなことでは難しい面もあることはご理解いただきたいと思います。車を運転して有料道路を使ってご自宅まで伺うこともあり、場合によっては往復数千円することもあります。なるべく有料道路は使わないようにしていますが、それでも燃料代はかかるわけですし、時間もかかります。

 

大体要点はお話ししましたが、さらにここからもう少しお話ししておきます。

 

お布施には、修行の一環という面があります。すなわち、自分としては、どのくらいなら納めることができるか、自らを測るものだからです。お釈迦様は、王族からもらう多額の金品も、身分の低い貧乏な老婆からもらう1本のろうそくも、ありがたい布施として受け取られました。

 

これをもって、「たくさん布施しなさい、身ぐるみ一切合切布施しなさい、そうすればご利益があるぞ」というあくどい宗教もあるようですし、そこまででなくても高額なお布施を請求する寺が先の相談のように存在するわけですが、自らの意思で、自らができる範囲でする。これが布施の本質です。

 

ただ、そうは言ってもお布施を出す側からすれば全く基準がないとわからないということもあるでしょう。金額を書くとそれだけが一人歩きするのも困りますから抽象的に書きますが(どうしてもお知りになりたい方は、メールや電話でご連絡いただければ、お答えします)、葬式の場合、宗派や地域ごとの相場というものがあり、それはその地域で活動している葬儀屋さんの方がご存知ですから、お聞きになればいいかと思います。もっとも、葬儀屋さんも、金額を言うともしかすると「少なすぎる」と文句を言う寺もあるのか、「お寺さんに直接聞いてください」という葬儀屋さんが増えたような気はします。

 

お布施には、先にも述べたように、スポンサーとしてお寺を支えるという意味があります。先日目にしたニュースでは、自分の行きつけの店なのでしょう、外国の話ですが料理の代金を倍にするようにと店に伝え、さらにチップも含めて22万円支払った客がいたそうです。常連客は、お店を大事に思って、より多く出すくらいの気持ちを持っておられる方がいるのでしょう。ちなみに、「友達価格」という言葉、皆さんどう受け止められますか?この点は最後に記します。

 

寺は、マンション経営など副業や住職の兼業で一定の収入を得ることでなんとかもっている場合もありますが、通常は布施収入が全てです。

 

兼業は大変ですし、マンション経営もコロナ禍など社会情勢で必ずしもプラスばかりではなく、やはりお寺である以上、お布施はありがたいです。当寺では、ここ数ヶ月は、そのお布施も半減していますが。

 

お布施を負担される際には、「このお寺を支えよう」との思いがあれば多めに、そんな気はなければ、それなりの負担をすればいいと思います。「檀家さん」としてお寺とどのような関係性を持つかは、お布施をお納めいただく皆さんのお考え次第です。

 

なお、院号がほしい方については、通常のお布施とは別にお支払いが必要です(本山に申請し、本山に納めていただきます)。こちらも本来は「寺院が建つ」ほどに援助していただいた檀家さんに、寺側がお礼の意味で与えたのが始まりとされています。したがって寺と檀家さんとの関係性が重要で、必ずしもどなたにでも与えられるものではないわけですが(現在では院号より位が上とされる院殿号は、今でも関係性が重視されます)、今は大体これくらいという目安(最低額)を示していることが多いです。寺が建つほどとなると何千万円かと思いきや、宗派によるでしょうが今は何十万円程度が一般的かと思います。

 

(付記)

「友達価格」という言葉、関西人は特にかもしれませんが友達だから割り引いてくれる価格だと思っている人が多いのではないでしょうか。例えば友人が経営している店に行ったら、少しおまけしてくれるとか。専門知識を持つ友達がいたら、無料で相談に乗ってもらえるとか。でも本来は、友達なら上乗せして応援するくらいであるべきだという見解を目にしたことがあり、なるほどと思いました。友達同士、持ちつ持たれつ、お店を応援しようと思えば上乗せし、いつも来てくれてありがとうねの気持ちでサービスする。そういう双方向の意味が「友達価格」ではないでしょうか。お寺と檀家さんも、いい意味での持ちつ持たれつの関係であるべきですし、そうありたいと思います。

 

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