いわゆる「大阪都構想」の危険性を明らかにする学者記者会見

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いわゆる「大阪都構想」の危険性を明らかにする学者記者会見

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2020/10/13 いわゆる「大阪都構想」の危険性を明らかにする学者記者会見

先日、「大阪都構想」の危険性を明らかにする学者記者会見に、私も参席してまいりました。

 

正しい情報に基づいて、正しく判断していただきたい。メリットもデメリットもある。しかも、デメリットがあるからこそ、議会で結論を出すのではなく住民投票が行われるのです。デメリットを理解した上で、それでもなおかつ賛成ということであれば、それは政治的判断として大阪市民各自の決断が尊重されるべきでしょう。

 

ただ、推進派(賛成派)は、説明会でも全くデメリットを説明しません。先日、賛成反対5党の代表(党首という意味ではなく、あくまで当日の代表)による討論会を聴講してきましたが、賛成派の維新と公明、特に維新の代表の方は、「生活は必ず向上する」の一点張りでした。一言、会場からの質問に対してだったかと思いますが、「デメリットと思われる方にはデメリットなんだろう」という発言はありましたけれども、それ以外では一切デメリットの説明はありませんでした。

 

なお、賛成派と反対派の主張は、全く違う方向を向いており、話が噛み合っていない面もあります。端的に言えば、賛成派は政治的決断重視、反対派は論理重視です。法律学の世界でも、論理的にはおかしいが、政策的にこうせざるを得ない、ということがあります。ただし、それは論理を無視しても、政策的にメリットが大きいことを前提とした話です。

 

反対派の理論的説明の際たるものが、下記の内容です。是非それぞれ長いですがご覧いただきたいと思います。

「大阪都構想」の危険性を明らかにする学者記者会見(長周新聞による記事)

同YouTube動画

「大阪都構想」の危険性に関する学者所見(10/10現在、130名)

 

多種多様な専門領域から危険性を指摘しているのに、それに対処しようとした形跡がありません。本当に都構想が必要だと考えるのであれば、誰からも批判されない内容にしてもいいところ、推進派特に維新の方々は社会の分断、格差社会を肯定しておられるので、反対派の意見には耳を貸すそぶりすらありません。

 

維新10年で変貌した大阪の行政 衛生研や高校統廃合 地下鉄・バス民営化 役所窓口はパソナ職員に(長周新聞記事)

儲かるか儲からないかが全ての基準。民間セクターと公共セクターは同じ論理で動いてはいけません。競争原理を公共セクターに導入することは、格差社会、分断社会を生むことは明らかです。

 

 申し上げたいことは多々ありますが、何よりも、上記の危険性をご理解いただきたく、その上で、大阪市民の皆様には、適切なご判断をお願いいたします。

 

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なお、ここからは、少し上記リンク先記事で、私の発言を誤解した点がありましたので、補足的に私の見解を記載しております。これも長いのですが、ご了承ください。

 

都構想の危険性に関する道野所見

「今回のいわゆる都構想は、民間のシステムを公共セクターに取り入れる、いわば大阪府市の民営化に他なりませんが、公共セクターと民間セクターは別であるべきで、公共セクターに民間の論理を持ち込むというあまりにも危険な実験をしようとするものであるということです。

 

株式会社は経営効率を高めるために経営者への権限集中を図ることができますが、それに見合うだけの監視システムがあります。さらに、経営者に任務懈怠があれば、会社に対する責任、第三者に対する責任があり、破綻の際には破綻処理が多々用意されています。

 

しかし、公共セクターでは、首長の失政は基本的には選挙で首をすげ替えることしか予定されていません。しかし選挙も、例えば有権者の8割の信任を得ることが条件であればまだしも、投票率が50%を切っていても、その候補者のうちの上位であれば信任されたことになってしまう。決して多数派を代表しているわけではありません。また議会はチェック機能を果たす場合もありますが、首長と同じ政党の場合、結局チェック機能が果たされないことも生じます。

 

会社の経営者は積極的に投資してくれた株主を一応念頭において経営すればいいのですが、公共団体では自分の支持者だけでなく、反対派も、さらには声を上げることのないマイノリティや弱者も念頭に置いた運営をしてもらわねばなりません。株式会社のように経営者に裁量の余地のある制度設計ではなく、公共セクターではよりカッチリとした制度設計をして、誰がやってもうまくいくものしなければならないのに、決してそうはなっていません。首長の責任、破綻処理スキームをしっかり作らないでこのような壮大な実験をすることは危険です。

 

以上のように、チェック機能がない中で、大阪府と大阪市は、大阪のツインエンジンでありつつ、両者牽制しながら、チェック機能を果たしながら進んできました。それを司令塔一本化することによって、監視システムがさらに弱まることになってしまいます。

 

なお、現状においては、都構想と副首都機能は紐付けされているものではなく、国が地方分権を積極的に進める気があれば今のままでも大阪は副首都になり得ます。住民投票だけで8億円、大阪市廃止特別区設置に莫大なお金をかける必要はありません。ソフトの変更であってハードの変更ではないからお金はかからないとお思いの方もおられるかと思いますが、ソフトだけの変更に見せかけたハコモノ行政そのものです。」

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