諸行無常

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2023/04/21 諸行無常

私ごとながら、お恥ずかしいことに、濡れた路面に足を取られ、大転倒。後頭部を打った上、焦って立ちあがろうとしたのか前につんのめって右目の上を強打。その段階で意識朦朧でよく覚えていないのですが、救急搬送。9針ほど縫ってもらいました。

 

皆さんに恥を晒すようなことをここに記さなくてもいいのですが、ただ、この経験から思ったことを述べたく、少々お付き合いください。

 

ある法話で、事故で急死された方の話が取り上げられていました。

 

もともと北国の方だが、仕事の関係で雪の降らない都会で暮らしておられた。ところがコロナ禍で仕事がオンライン中心になり、都会にいても仕方ないからと地元に戻られた。北国といってもずっと降り続いているわけではなく、時折ドカ雪が降る。屋根の雪が気になったのか、つっかけを履いて1人外に出たらしく、通路で倒れているところを通行人が見つけて連絡をくれた。発見したときには手遅れで亡くなっておられた、ということでした。

 

少し話は異なりますが、私自身、こんな経験をしたことがあります。小樽に住んでいた頃のことですが、小樽はフェリーの発着する港ですので、自家用車で観光に来た人が降り立ち、そのまま札幌方面などへ向かうことがあります。あるとき、札幌に向かう幹線道路が大渋滞。小樽でそんなことは珍しいので、どうしたのかなと思いつつ進んでいたら、道路の真ん中に人が倒れていてそのそばに座り込んでいる人がいる。これは事故だとすぐにわかる状況でしたが、救急車がすぐに到着しそうだったのでそのまま事故現場を通り過ぎました。ニュースになっており、後で知ったことですが本州から来てすぐの観光客が、人をはねたようでした。

 

死に限らないことですが、偶然の出来事は、幾つもの偶然が重なっていることがわかります。前者の例だと、コロナがなければ地元に戻ることはなかったでしょうし、つっかけではなくちゃんとした長靴を履いていたら足を滑らせることもなかったかもしれない。外に出るときにおうちの人に一言かけていればすぐに発見されたかもしれない。

 

後者の例だと、一番の問題は加害者の前方不注意でしょうけれども、偶然の部分で言えば、観光でたまたま来道したら、たまたま横断歩道のない道路を渡ろうとしている被害者がいた。詳しいことはわかりませんが、フェリーから降りてすぐに札幌に向かうのではなく、小樽で食事でもとっていたら事故を起こすタイミングを外していたかもしれない。

 

私の場合もそうです。濡れた路面ではよく滑ると日頃から自覚していた草履を履いていた。当時、雨が降っていた。ベロンベロンというほどではないにせよそれなりにお酒が入っていて注意力が散漫だった。そんな草履を雨の降る日に履いてなかったら、注意力が低下するほどお酒を飲んでいなかったら、雨が降っていなかったら、大転倒することはなかったでしょう。あるいは、何らかの偶然があったから、死なずに済んだわけです。そこに石があったら打ちどころが悪くて死んでいたでしょう。

 

平和な日本で生きていると、生きているのが当たり前に思えますが、実は当たり前ではなく、偶然の出来事が重なって生きている。反対に言えば偶然の出来事が重なって死ぬこともある。私が20代の頃なら同じ状況でも転けることはなかったでしょう。どれだけ元気で若いと思っても50代。衰えがくるのは当然です。

 

正(まさ)しく、諸行無常。

 

私は、今回の出来事で強く感じたのは、いつかは死ぬのだから好き勝手やろうじゃないか、ではなく、いつかは死ぬのだから「ていねいに生きよう」ということです。

 

20代は20代の生き方、50代は50代の生き方がある。どちらがいい悪いではありません。老いも若きも失敗を恐れず何事にも挑戦するのはもちろんいいですが、ていねいさがないのは無謀なだけです。歳を重ねれば重ねるほど。

 

いつ死んでもいい覚悟で毎日をていねいに生きる。それが大事だと、強く思い知らされた出来事でした。自分ではそんなつもりはありませんでしたが、結果的にていねいさが足りませんでした。

 

蛇足かもしれませんが、最後に。子供達への思いはもともと強いものがあると自負していますが、今回、頭を打って間違いなく10年寿命が短くなったと思うと、子供との時間が余計に愛おしいものになりました。甘やかしたり過保護になったりということではありませんけれど、子供との時間は短い。子供も日々変わっていきます。

 

この世は、移ろうからこそ美しい。

 

諸行無常

 

残りの人生、大切に、ていねいに生きようと思います。

 

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